大使室より(南国での「クリスマス」に思うこと)

令和6年12月27日
ボートに乗って登場するサンタクロース

南国での「クリスマス」に思うこと

サモアに来て一週間が過ぎ、当地で初めてのクリスマスを迎えました。
クリスマスは家族で祝う、というのがどこでも定番の過ごし方。しかし、私は、今、家内と息子2人を東京に残して単身赴任中。家族とは離れて、滞在中のホテルにて24日のクリスマスイブ、25日のクリスマスを過ごし、翌日の26日ボクシングデーにこの原稿を書いています。
 
サモアの大部分の人たちはキリスト教徒。宗派はカトリック、プロテスタントといろいろですが、クリスマスは大事な行事です。25日には、国家元首からクリスマスのメッセージが出されるほど。私も現地の風習と伝統に敬意を表して、25日朝には、カトリックの大聖堂でのミサに参加してきました。
 
クリスマスには、世界各地にプレゼントを抱えてサンタクロースが訪れますが、当然、サモアにもサンタクロースは来てくれます。
 
その登場の仕方は各地によって違いがあります。
 
日本を含む北半球の各地では、サンタクロースは赤鼻のトナカイさん(ルードルフ)の率いるトナカイたちの引くソリに乗って来ます。そんなソリが、空を飛べるかどうかはともかくとして。雪の積もる世界のイメージですね。
 
北半球ではクリスマスは「冬」の行事、ところによっては雪の降る中で「ホワイト・クリスマス」を迎えることになりますが、こちらは南半球ですから、季節で言えば「夏」。(注.もっとも、年中常夏と考えれば、季節的には雨季と乾季しかなく、今は「雨季」ということになりますが。)クリスマスに雪が降る、などということはまず考えられません。
 
トナカイも、話には聞いたことがあっても、まず見たことない人が多いのでは。
 
というわけで、こちらではサンタクロースは海の向こうからボートに乗って登場!
 
まあ、これは、プライベート・ビーチのあるリゾートホテルならでは、の演出かもしれません。
 
しかし、かつて南太平洋の海を船で渡ってこの島にたどりつき、その後も島々の間を船で自在に行き来してきたこの国の人々にとっては、異世界から贈り物を抱えて訪れる使者たるサンタクロースは、船で来るのが当然、とも思えるのでした。
 
(注.前任地のアイスランドの話を持ち出して恐縮ですが、アイスランドではサンタクロースにあたる「ヨーラスベイン」は13人おり、一人一人、順番に山から降りてくると考えられています。本来、いたずらや悪さをする困った連中ですが、最近は白髭のサンタクロース氏を見習い、ちょっとしたお菓子など、プレゼントも持ってくるようです。)