大使室より(サモアでスキンケアブランドを立ち上げ、輸出産業に育てる試み )
令和7年1月16日



サモアでスキンケアブランドを立ち上げ、輸出産業に育てる試み (「KUKI」スキンケア工場見学)
先日、タウメアシナホテルにて偶然お会いしたマリアさん。そのマリアさんが経営する天然素材を用いたスキンケアブランド、「クーキ(KUKI)」の製造拠点を訪ねました。大変興味深いお話を伺うことができたので、少し長くなりますが、ご紹介したいと思います。
マリアさんは、豪州クイーンズランド州の出身。元は学校の先生。学校長をしたことも。
サモア人の夫君と結婚、長く当地で生活しておられます。サモア商工会議所理事、製造業者輸出業者協会会長でもあります。
マリアさんが、サモアの自然素材の活用を考えるようになったきっかけは、自分の子供が顔にやけどをしたことだそうです。村の人たちに勧められて、伝統的な治療方法であるチャーコール(炭焼き)を主体にした塗り薬を試してみたら、全くやけどの跡も残らないほど効き目があった、とのこと。
今、商品開発の主力になっているのはフェタウ油を利用したもの。サモア語でフェタウ(Fetau)と言われる木の実からは、皮膚の傷みを和らげ、回復を促す成分のある油がとれます。取り出された油は一見焦げ茶色をしており、見た目はあまりよくないが、効果は抜群。(類似商品はバヌアツでも作られているが、そこでは色味をよく見せるために合成着色料を利用している由。他方、マリアさんは天然素材だけで商品化を目指したい由。)
フェタウは、普通に海辺の砂浜に生える植物。しかし、ココ椰子とは異なり、地元の人たちはその実の価値を理解していません。浜辺に落ちている実を直接採集することも可能ですが、たくさんの人手が必要になるので、現在では造成した畑で栽培。採取している。
そうして得られたフェタウ油は原材料としてそのまま輸出することも可能。実際、米国の薬事メイカーからの引き合いもある由。だが、それだけではビジネスとしてのうまみが薄いので、マリアさんは、スキンケアのブランド、プロダクトラインを独自に立ち上げることとしました。
国内市場にも商品を出していますが、ITC(国際貿易センター)の援助も受けて、商品のブランディングや海外の販路確保に取り組んでいます。すでに香港、マカオには商品輸出のめどがついたのだそう。近く、支援を受けてイタリアのスキンケアのフェアに参加する予定だそうです。
オンラインでの販売も行っており、NZ、豪、UKからも引き合いがある由。ただ、サモアからだと送料が高くつくのが悩み。また、販売代金をサモア国内で受け取ることができず、NZの口座を通じて受け取るしくみだとか。(現在では、当地の金融機関は、そうしたオンライン販売に適したサービスを提供できていないため。)
欧州、日本などはこの種のスキンケア商品の販売については、商品の安全性等に関する規制がいろいろとあって、サモアのような地から輸出するとなるとなかなか難しいハードルがある、というお話でした。たとえば、商品の加工、ブレンディングに使うココナツオイルも、サモアで作るものは製造過程で混入する不純物が多いとされ、そのままでは輸出できないのだそうです。欧州基準を満たすためには、さまざまな商品テストをするためのラボラトリも整備する要あり。
そうしたことがあって、KUKIのような小さいスタートアップ企業が、輸出向けのビジネスをサモアで立ち上げるのは容易ではないそうです。資金力のある大きな企業でないと無理、とアドバイスしてくれる人もいたとのこと。 実際、コロナの時期には若い労働力が確保できなくなり、大幅に事業を整理、縮小せざるをえなかったそう。しかし、今は様々なチャレンジも、一つ一つ乗り越えていければ、と前向きに考えているそうです。
ちなみに、日本のPIC(太平洋島嶼センター)の人もこの会社を訪れているとのことでした。商品には大変な興味を示され、日本でも紹介したい、と言われたのだが、実際に販売にいたるまでの障害も大きいことは知っていたし、紹介されても販売できない、ということになるのはよろしくない、と考え、辞退させていただいた、と。
マリアさんは、豪州クイーンズランド州の出身。元は学校の先生。学校長をしたことも。
サモア人の夫君と結婚、長く当地で生活しておられます。サモア商工会議所理事、製造業者輸出業者協会会長でもあります。
マリアさんが、サモアの自然素材の活用を考えるようになったきっかけは、自分の子供が顔にやけどをしたことだそうです。村の人たちに勧められて、伝統的な治療方法であるチャーコール(炭焼き)を主体にした塗り薬を試してみたら、全くやけどの跡も残らないほど効き目があった、とのこと。
今、商品開発の主力になっているのはフェタウ油を利用したもの。サモア語でフェタウ(Fetau)と言われる木の実からは、皮膚の傷みを和らげ、回復を促す成分のある油がとれます。取り出された油は一見焦げ茶色をしており、見た目はあまりよくないが、効果は抜群。(類似商品はバヌアツでも作られているが、そこでは色味をよく見せるために合成着色料を利用している由。他方、マリアさんは天然素材だけで商品化を目指したい由。)
フェタウは、普通に海辺の砂浜に生える植物。しかし、ココ椰子とは異なり、地元の人たちはその実の価値を理解していません。浜辺に落ちている実を直接採集することも可能ですが、たくさんの人手が必要になるので、現在では造成した畑で栽培。採取している。
そうして得られたフェタウ油は原材料としてそのまま輸出することも可能。実際、米国の薬事メイカーからの引き合いもある由。だが、それだけではビジネスとしてのうまみが薄いので、マリアさんは、スキンケアのブランド、プロダクトラインを独自に立ち上げることとしました。
国内市場にも商品を出していますが、ITC(国際貿易センター)の援助も受けて、商品のブランディングや海外の販路確保に取り組んでいます。すでに香港、マカオには商品輸出のめどがついたのだそう。近く、支援を受けてイタリアのスキンケアのフェアに参加する予定だそうです。
オンラインでの販売も行っており、NZ、豪、UKからも引き合いがある由。ただ、サモアからだと送料が高くつくのが悩み。また、販売代金をサモア国内で受け取ることができず、NZの口座を通じて受け取るしくみだとか。(現在では、当地の金融機関は、そうしたオンライン販売に適したサービスを提供できていないため。)
欧州、日本などはこの種のスキンケア商品の販売については、商品の安全性等に関する規制がいろいろとあって、サモアのような地から輸出するとなるとなかなか難しいハードルがある、というお話でした。たとえば、商品の加工、ブレンディングに使うココナツオイルも、サモアで作るものは製造過程で混入する不純物が多いとされ、そのままでは輸出できないのだそうです。欧州基準を満たすためには、さまざまな商品テストをするためのラボラトリも整備する要あり。
そうしたことがあって、KUKIのような小さいスタートアップ企業が、輸出向けのビジネスをサモアで立ち上げるのは容易ではないそうです。資金力のある大きな企業でないと無理、とアドバイスしてくれる人もいたとのこと。 実際、コロナの時期には若い労働力が確保できなくなり、大幅に事業を整理、縮小せざるをえなかったそう。しかし、今は様々なチャレンジも、一つ一つ乗り越えていければ、と前向きに考えているそうです。
ちなみに、日本のPIC(太平洋島嶼センター)の人もこの会社を訪れているとのことでした。商品には大変な興味を示され、日本でも紹介したい、と言われたのだが、実際に販売にいたるまでの障害も大きいことは知っていたし、紹介されても販売できない、ということになるのはよろしくない、と考え、辞退させていただいた、と。