大使室より(広島の原爆死没者慰霊碑のこと)

令和8年4月24日
広島平和記念公園 慰霊碑
原爆ドーム
広島の原爆死没者慰霊碑のこと
 
前稿では、日本を訪れる観光客が増えていることを書きました。
 
では、日本のどこを訪ねるべきでしょうか?
 
日本を訪れるツーリストの多くが、まず首都である「東京」を訪れます。東京といっても広いのですが、かつてこの地が「江戸」と言われていた昔の面影を残す「浅草」の近辺はとくに外国人観光客には人気です。少し日程に余裕のある人の中には、近郊の温泉保養地「箱根」を訪れる人もいます。さらに新幹線に乗れば、「京都」、「大阪」、「奈良」といった関西の観光名所を見に行くことも可能です。
 
しかし、日本訪問の際には、大阪からさらに西の「広島」も是非念頭においておいてください。
 
1945年8月6日の午前8時15分。この日、この時に広島で人類史上はじめて原子爆弾が実戦で投下され、多くの人々が一瞬にして命を失いました。幸いに生き残った人たちも、重度のやけどや放射線の暴露に苦しみました。広島市には、いまでもその記憶を失わないために、平和記念公園や資料館、いわゆる原爆ドーム、原爆死没者慰霊碑などがあります。
 
慰霊碑には以下の碑文が刻まれています。
 
「安らかに眠って下さい 過ちは繰り返しませぬから」
 
(碑文の英訳は、「Let all the souls here rest in peace ; For we shall not repeat the evil」)
 
有名な碑文ですが、この一文については、かつては批判もありました。
 
いわく、後段の一文の主語は誰なのか? 日本人?広島市民? 原爆を投下したのは米軍なのに、なぜ、日本人が「過ち」を悔い、犠牲者の霊に謝らねばならないのか、と。
 
そうした長年にわたる批判、論争を受けて、広島市は、この碑文の主語は、『世界人類』であり、碑文は人類全体に対する警告・戒めである」という見解を示しました。この見解が出されて以降、この碑文の意図するところは、「日本」「アメリカ」といった特定の国の枠を超えて、全ての人間が再び核戦争をしないことを誓うためのものである、とする解釈が一般的になっています。
 
また、この碑文は、核兵器の使用や核戦争に限らず、広く人が人を殺し合う「戦争」、とりわけ「侵略戦争」という犯罪を二度と繰り返さないという、普遍的な不戦の誓いと解釈することも可能だと思います。私は、むしろそういう解釈を支持したいと思います。
 
インバウンドのツーリストが増えた今、世界中の人々がこの地を訪れるチャンスがあります。
 
機会があれば、是非「広島」にも足を伸ばして、この原爆慰霊碑のことも思い起こしていただければ幸いです。